夜になっても家が冷えない理由とは?
夜になっても部屋が冷えない家がある
日が沈んで外は涼しくなっているのに、家の中は暑いまま。窓を開けても風が入ってこない。エアコンを止めるとすぐに蒸し暑くなる。夏の終わりごろ、こうしたご相談をよくいただきます。
外気温は下がっているのに室温が下がらないというのは、熱がどこかに残っているということです。その熱がどこにあるのか、なぜ夜まで残るのかを見ていきます。
建物が熱を蓄えている
日中、屋根や外壁は強い日射を受けます。真夏の屋根の表面温度は60度から70度程度に達することがあります。外壁も、西側であれば午後に大きく温度が上がります。
この熱は、表面で止まるわけではありません。屋根材から野地板へ、外壁から柱や壁の内部へと、時間をかけて内側に伝わっていきます。材料の中を熱が移動する速さはゆっくりで、厚みによっては数時間かかります。
つまり、昼に受けた熱が室内側の面に届くころには、外はすでに夕方から夜になっています。外気温が下がってから室内が暑くなるという、一見おかしな現象はこれで起こります。この、材料が熱を蓄えて時間差で放出する性質を蓄熱と呼びます。
室内のものも熱を持っている
熱を蓄えているのは建物の外側だけではありません。床、壁、天井、家具も日中に暖められています。
エアコンで空気を冷やしても、これらの表面はすぐには冷えません。冷えた空気に熱が移り、また暖まる、ということが繰り返されます。エアコンを止めた途端に暑くなるのは、まだ熱を持っている表面から熱が出続けているからです。
人が感じる暑さは、空気の温度だけでは決まりません。まわりの表面温度からも影響を受けます。室温が28度に下がっていても、天井や壁が32度あれば、体感はそれより暑くなります。温度計の数字と体感が合わないという感覚は、ここから生まれます。
夜に熱が逃げていかない理由
昼にたまった熱は、夜のあいだに外へ出ていくはずです。ところが、それがうまくいかない住宅があります。
ひとつは、外の空気を取り込めていない場合です。窓を開けても風が通らない間取り、防犯のために窓を開けられない事情、そもそも開けられる窓が少ない部屋。こうした条件では、涼しい外気を入れられません。
もうひとつは、小屋裏に熱がこもっている場合です。屋根裏の空気は真夏に50度を超えることがあります。この熱い空気がふたのように天井の上に乗っていると、室内の熱は上に逃げていけません。二階の寝室が夜まで暑いというご相談の多くは、ここに原因があります。
断熱が弱い家ほど、この現象が強く出る
蓄熱そのものは、どんな住宅でも起こります。問題は、蓄えられた熱が室内側に伝わってくるかどうかです。
断熱材は、熱の移動を遅らせ、量を減らす役割を持っています。天井や壁の断熱が十分であれば、屋根や外壁がどれだけ熱くなっても、室内側まで届く熱は大きく減ります。
築25年から35年ほどの住宅では、天井の断熱材が薄い、ずれて隙間がある、経年で押しつぶされている、といった状態がよく見られます。この場合、屋根の熱がほぼそのまま天井に届きます。夜になっても暑いという体感は、断熱の弱さがそのまま表れたものです。
エアコンを強くしても解決しにくい
対処としてまず思いつくのが、エアコンの能力を上げる、あるいはつけっぱなしにするという方法です。実際、それで室温は下がります。
ただ、熱が入り続け、建物が熱を持ち続けている状態は変わりません。エアコンは冷やし続けることになり、運転時間が長くなります。電気代がかさむわりに、体感はそれほど改善しないということが起こります。
天井や壁の表面が熱を持っている限り、そこからの放射で暑さを感じます。冷やす相手を空気だけにしていると、この部分に手が届きません。
改善の方向と順番
考え方は三つあります。熱を入れない、たまった熱を逃がす、伝わらないようにする、です。
最も効果が出やすいのは、天井や屋根の断熱を強化することです。小屋裏に入れる住宅であれば、天井に断熱材を追加する方法が比較的手をつけやすく、費用も抑えられます。天井が斜めになっている部屋や小屋裏を使っている住宅では、屋根側での断熱になります。
次に、日射そのものを減らすことです。窓の外側でシェードやすだれを使って日射を遮る、西側の窓に対策をする。入ってくる熱の量を減らせば、蓄えられる熱も減ります。
小屋裏の熱を排出する換気も、補助的には有効です。ただしこれは、たまるのを和らげる対策であり、断熱が不十分なままでは効果が限られます。
どこから手をつけるかは住宅によって変わります。夜まで二階が暑い住宅は天井から、午後のリビングが暑い住宅は窓の日射対策から、というように症状から絞り込めます。
冬にも同じことが関係する
天井の断熱は、夏の暑さだけの話ではありません。冬は暖かい空気が上に集まるため、天井の断熱が弱ければそこから熱が逃げていきます。
夏の暑さのご相談で天井の断熱を見直した結果、冬の暖房の効きも変わったというお話をいただくことがあります。同じ工事が夏と冬の両方に効くという点は、費用を考えるうえで知っておいていただきたいところです。
まとめ
夜になっても家が冷えないのは、日中に屋根や壁、室内の床や家具が蓄えた熱が、時間をかけて放出されているためです。外気温が下がってから室内が暑くなるのは、熱が材料の中を移動するのに時間がかかるからです。
エアコンの能力を上げるより、天井や屋根の断熱を見直し、日射そのものを減らすほうが、結果として費用も体感も改善しやすくなります。
ご自宅のどこに弱点があるかは、いつどの部屋が暑くなるかという症状からある程度絞り込めます。まずは今の状態を確認するところからご相談ください。
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