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築30年の家で電気代が月3万円を超える理由とは

同じ地域、同じ家族構成でも電気代に差が出る

最近、電気代が高すぎる。築20年から30年ほどのお住まいの方から、よくいただくご相談です。夏の電気代が3万円を超える、冬も2万円台の後半になる、エアコンを止めるのが怖くてつけっぱなしにしている、といった内容です。

電気料金そのものの値上がりは確かに影響しています。ただ、同じ静岡市内で、家族構成も広さも生活の時間帯もほとんど変わらないのに、月に1万5千円前後で収まっているお宅もあります。

この差は、暮らし方の違いというより、住宅の性能の差から生まれています。光熱費は、古い家の弱点をそのまま映す鏡のようなものです。ここでは、その弱点がどこにあるのかを順に見ていきます。

窓から熱が出入りし続けている

築30年前後の住宅では、アルミサッシに単板ガラスの窓が標準でした。この組み合わせは熱を通しやすく、夏は日射の熱がそのまま室内に入り、冬は暖めた熱が逃げていきます。

エアコンから見れば、冷やしても抜けていく、暖めても逃げていく、という状態です。設定温度に届かないため運転が止まらず、長い時間動き続けます。電気代が上がるのは、能力の不足ではなく、追いつかない状態が続いているためです。

冬の住宅で逃げる熱のうち、窓などの開口部からがおよそ半分を占めるとされています。電気代を見直すときに、まず窓が話題に上がるのはこのためです。

天井の断熱が薄いと、夜まで電気を使う

古い住宅では、天井の断熱材が100ミリ程度と薄かったり、経年でずれて隙間ができていたりします。

屋根は夏に最も熱を受ける場所です。ここが弱いと、日中に受けた熱が小屋裏にたまり、夜になってから天井を通して室内に降りてきます。日が沈んでも部屋が暑く、エアコンを止められないという状態になります。

夜間も電気を使い続けている家は、屋根や天井側に弱点があることが多くあります。日中だけでなく夜の電気代も高いという場合は、窓だけでなく天井を疑ってみてください。

湿気を取るために電気を使っている

静岡は夏の湿度が高い地域です。気密が低い住宅では、外の湿った空気が隙間から入り続けます。

エアコンは、室温を下げるだけでなく、空気中の水分を取り除くためにも電力を使います。湿った空気が入り続けている家では、この除湿に使われる電力の割合が大きくなります。設定温度を下げても部屋がじめついて感じられ、さらに温度を下げるという使い方になりがちです。

隙間をふさいで外気の流入を減らすと、除湿にかかる負担が下がります。気密の改善が光熱費に効いてくるのは、温度だけでなく湿度の面でも働くからです。

使っていない部屋も冷暖房の負担になる

居間だけを冷やす、寝室だけを暖める、という部分的な使い方は、一見すると節約になりそうです。ところが断熱が弱い住宅では、冷やした部屋の熱が隣の部屋や廊下に流れ出ていきます。

その結果、一台のエアコンが常に全力で運転する状態になります。使っていない部屋との温度差が大きいほど、この流出は大きくなります。廊下やトイレが極端に寒い家で、居間のエアコンがなかなか止まらないのは、こうした理由によります。

性能を整えた住宅で、少ない台数のエアコンで家全体を賄えるようになるのは、部屋の間で熱が流れ出る量が小さくなるためです。

昔はこんなに高くなかった、の正体

以前はここまで高くなかった、という感覚はもっともです。理由はいくつか重なっています。

ひとつは電気料金そのものの上昇です。もうひとつは、夏の気温が以前より高くなり、冷房を使う期間と時間が伸びていることです。そして三つめが、住宅の傷みです。断熱材の劣化や隙間の増加は、少しずつ進むため気づきにくく、ある時点で電気代として表に出てきます。

つまり、使い方が変わっていなくても、条件のほうが変わってきています。我慢して乗り切るという方向には限界があります。

月1万円の差が意味すること

仮に月1万円、電気代に差があるとすると、年間で12万円です。10年で120万円、20年では240万円になります。

性能向上リフォームの費用を考えるときに、この視点は判断の助けになります。工事費だけを見ると大きな金額に見えますが、これから住み続ける年数のあいだ払い続ける光熱費と並べて考えると、見え方が変わることがあります。

あわせて、暑さ寒さの我慢が減ること、結露やカビが起きにくくなること、冬の温度差が小さくなることも同時に得られます。光熱費だけが目的ではありませんが、判断材料のひとつにはなります。

どこから手をつけるか

電気代が高い家には、窓が弱い、天井の断熱が薄い、隙間が多い、日射が入りやすい、という条件が重なっていることがほとんどです。すべてを一度に直す必要はありません。

多くの場合、費用に対する効果が出やすいのは窓です。内窓の追加であれば、工事も比較的手軽です。次に天井の断熱、そして隙間の処理と進めると、無駄が少なくなります。

ただし、どこが一番弱いかは住宅によって違います。夜まで暑い家は天井から、窓際の寒さが強い家は窓から、というように、症状から原因を絞り込んでいくことができます。

まとめ

築30年前後の住宅で電気代が高くなるのは、使い方の問題ではなく、窓、天井の断熱、気密、日射という住宅側の弱点が重なっているためです。

エアコンを買い替えても、熱が出入りし続けている限り、運転時間は短くなりません。入口と出口をふさぐほうが、結果として電気代に効いてきます。

ご自宅のどこに弱点があるのかは、症状からある程度絞り込めます。電気代が気になっているという段階でも構いませんので、今の住まいの状態を整理するところからご相談ください。

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