なぜ押し入れの奥だけがカビるのか?
― そこは“家の弱点”が集中する場所です ―
久しぶりに押し入れを開けたら、
奥の壁だけ黒ずんでいる。
布団の裏側がうっすらカビている。
壁紙の角がポツポツしている。
手前は問題ないのに、
なぜ奥だけがカビるのか。
「空気がこもるからでしょ?」
確かにそれも一因です。
しかし築30年前後の住宅で起きる“押し入れ奥カビ”は、
もっと構造的な理由があります。
今日はそれを整理します。
まず押し入れの位置。
多くの場合、
押し入れは外壁側にあります。
なぜか。
・採光が不要
・居室優先の設計
・北側配置が多い
つまり押し入れの奥は、
外気に最も近い壁であることが多い。
次に断熱。
築30年前後の住宅では、
・外壁断熱が薄い
・断熱欠損がある
・気密シートがない
外壁の室内側表面温度が低くなりやすい。
冬場、
室温20℃
湿度60%
露点は約12℃。
押し入れ奥の壁が12℃以下になれば、
結露が発生します。
目に見えない微細な結露が、
壁紙裏で起きる。
それがカビの原因。
さらに空気の流れ。
押し入れは扉で閉じられる。
空気が動かない。
室内側よりも温度が低い。
湿気が滞留する。
条件が揃う。
湿度の供給源もあります。
・寝室での呼吸
・洗濯物の室内干し
・浴室からの湿気
・床下からの湿気
築30年前後の住宅は気密が弱い。
C値5.0以上の住宅も珍しくありません。
湿気は家中を移動します。
そして冷たい面に集まる。
押し入れ奥はその代表。
床下の影響も大きい。
床断熱の家では、
床下空間は外気と近い。
防湿対策が甘いと、
地面からの湿気が上昇する。
押し入れの下地は床に接している。
床下湿気+冷たい外壁。
カビにとって理想環境。
静岡の気候も関係します。
年間を通して湿度が高い。
冬でも絶対湿度は低すぎない。
外壁が冷える夜間、
室内湿気が壁へ移動する。
特に北側。
日射が当たらない。
温まりにくい。
押し入れ奥は最も温度が安定しない場所。
ここで電気代の話。
押し入れがカビる家は、
断熱性能が弱い家です。
外壁から熱が逃げやすい。
暖房を強くする。
設定温度を上げる。
結果、電気代が増える。
カビ問題と光熱費は無関係ではありません。
「除湿剤を置けばいい」
それは対症療法。
構造が変わらなければ、
湿気は供給され続ける。
本質改善は、
・外壁断熱の強化
・気密改善
・床下環境改善
・換気経路の確保
この順番。
特に気密。
隙間を減らすことで、
湿気の移動が安定する。
結露が起きにくくなる。
窓の性能も影響します。
単板ガラスは冷たい。
室内湿度が高いと、
窓で結露。
その水分が蒸発し、
室内湿度が高止まり。
押し入れ奥へ移動。
悪循環。
押し入れ奥だけがカビる家は、
・外壁断熱不足
・気密不足
・床下湿気
・換気不全
・北側低温
が重なっています。
これは収納の問題ではありません。
住宅性能の問題です。
築30年前後の住宅は、
改善余地が非常に大きい。
押し入れが乾けば、
・布団が守られる
・カビ臭が消える
・アレルギーが減る
・暖房効率が上がる
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